クチトンネル

クチトンネルは、ホーチミン市の西北70kmほどの距離にあり、南ベトナム民族解放戦線(いわゆるべトコン)の有力な拠点でした。ここでの堅固な抵抗が、ベトナムに勝利をもたらした要因の一つといわれています。そして今では、ベトナム解放勢力の英雄的象徴とされています。

このトンネルは、一見何の変哲もない雑木林の下に掘られています。それはまるで、蟻の巣のようにはりめぐらされ(写真下左)、全長は実に200キロメートルにも及びます。

トンネルの模型

このような雑木林の下にトンネルが掘られている

そのうち僅か10メートルほどですが、見学用として実際に入ることができます。中は人大人が身をかがめて、這うようにしてやっと進めるくらいです。もちろん完全武装の大柄な米兵ではとても入れないでしょう。それでも見学用に元より少し広げたとのことでした。

トンネルの入り口

身をかがめてやっと入れる


トンネルの周りには、多くの落とし穴が設けてありました。また兵士一人がやっと入れる隠れ穴もありました。

落とし穴の展示パネル

保存されている落とし穴

その内部。落ちると、とがった鉄棒で釘ざしになる

隠れ穴


しかも村民たちは、このトンネルの中に潜みながら、生活を続けていました。そこには学校や病院、市場もあり、弾丸、地雷などの武器や、軍服なども製造していました。もちろん食料も自足自給です。村一丸となって、生活しながら戦っていたことがうかがえます。

壕内の炊事場

地上では炊事の煙を拡散させて、空から見つけられない工夫がしてある

爆弾の製造風景の展示

手製の地雷


当時の兵士たちを再現した人形。服装はすべて手製で、履物は、古タイヤから作ったゴムぞうり



地雷に触れ動けなくなった米軍戦車

米軍から打ち込まれた爆弾


このトンネルを見学して、初めて南ベトナム民族解放戦線の実態が分かったような気がしました。粗末な手製の武器や古風な落とし穴戦術など、それは現代版の農民一揆を思わせるものでした。お上の圧制と、それを支援するため、突然侵入してきた外国軍に対し、平和な暮らしを取り戻すべく立ち上がった民衆のエネルギーが感じられました。

そしてそのエネルギーが、巣穴に潜む蟻たちをして、近代兵器に身を固めた巨象を打ち負かす原動力になったのでしょう。

次のサイトで、当時のクチ村の写真をご覧ください。

Cu Chi in the old days

クチトンネルの公式サイト